仕事の帰りによく通る新町川の水際公園に、昨年の秋口から一人のおばあさんがよく座っていましす。私は通勤の帰りにここをよく通るのですが、夕方か夜勤明けの朝なので結構寒い。この日も氷点下近い気温の中、このおばあさんは厚着はしているもののジャンバーとこたつ布団みたいなスカートの重ね着のみです。さすがに顔が冷たい為か上着で顔を覆っているが、自転車で通ると肌が出ているところは突き刺すような寒さが堪える温度です。この寒さの中ここにずっといるということは安定した住環境はお持ちでないようです。トイレと水は近くにあるので何とか生理機能は満たせるものの、脇に置いてある手押し車には傘と衣類と日用品と思われる袋詰めと、レジ袋に入ったお菓子のみと思われる食料で、この寒さの中で数ヶ月過ごしているみたいです。春先とか夏ならともかくこの寒い冬に、なんでこんなところで過ごしているのだろうか、夜はどこか別の場所で寝ているのだろうか、もしかしてこの椅子でじっとしているのだろうか、いつもほとんど動かないが、よく見ると手元はなにかごそごそと動いている。何か書き物をしている時が多いみたいですが、何を書いているのかはわかりません。若干の小銭を計算していたようなときもあったので、なけなしの所持金の計算をしているのかもしれません。そのお金はどこから来たかは謎ですが、ある人からのお布施なのか、はたまた自分で稼いだお金なのか、もしかして実は大富豪の方だったりとか勝手な想像はできますが、この状況を見ると1万円くらい掴ませて、「これで暖かいものでも食べて乗り切ってくださいね」と慈悲の心を働かせたくなるのは私だけではないと思います。もし、この寒さでこの場所で、この装備でいたら私なら3時間は持たないと思います。しかし、この方はたぶん数か月ここでほぼじっとしていると思われます。一回だけ春の陽気で暖かくなった日に、このおばあさんが歩いているのを見ました。満面の笑顔を浮かべながら橋の方からこちらの方に駆け足で歩いていました。結構元気なところもあります。お菓子を食べているときも笑顔だったように思います。ゆっくりと味わいながら、一個づつかみしめながら笑顔で食べていたように見えました。もしかして、本人はこの生活に何の不便も感じていないのかもしれません。私から見れば最悪の事態ですが、この方にとってはこの生き方が一番楽で楽しい生き方なのかもしれません。何物にも縛られず、気温の変化も苦とせず、または耐え忍び、誰に気づかうでもなく自らの世界の中でただ時を友達に生きている。まさしく自然との一体化を具現し、もしかしたら悟りの境地に達しているのかもしれない。
失礼とは思いましたが、自転車走行中に撮らせていただきました。すみません。 |